2019年7月30日、ディープインパクトが安楽死の処置をとられた。無敗の三冠馬でGI・7勝。競馬ファンだけでなく、数多くの人に知られた名馬だった。記憶にある限りだと、社会現象を巻き起こしたのは同馬とオグリキャップくらいではなかろうか。彼の出現で競馬を始めたor熱が復活した人は多いだろう。

そして私も例外でなく、競馬への情熱を取り戻した1人だ。もともと競馬はやっていた。興味を持ったのは中学生の頃、かれこれ20年以上前のことである。当時、活躍していた馬はマヤノトップガン、サクラローレル、マーベラスサンデー、牝馬だとエアグルーヴやメジロドーベル、キョウエイマーチあたりだっただろうか。次々と現れるスターホースに心を奪われた。


それから毎週のようにVHS（時代だなぁ…）にレースを録画する日々。何度も何度も見返しては、競馬の魅力にドップリとハマっていった。しかし、熱はいつしか冷めるもの。部活に受験勉強…いろいろと忙しかったのはあるが、録画することもなくなり競馬から離れていった。




もう競馬にハマることはないかな……






そう思っていたところで転機となったのが2005年。彗星の如く現れたのがディープインパクトだった。ヤバい強い馬がいるとは聞いていたが、実際にYouTube（時代だなぁ…）で見たら想像以上。









飛んでるやん、この馬。









とにかく次元が違った。よっこいしょってな感じでゲートを出て、後方待機するのがいつものパターン。それから直線でゴボウ抜きするのだが、絶望的な位置から届く姿は1頭だけ別の競馬をしているかのようだった。脚質は違うも、同じ父（サンデーサイレンス）を持つサイレンススズカの逃げを思い出したのを覚えている。まさに別次元。




一度でいいから見てみたい。ディープがターフを飛ぶところ。




そう思った私は、当時東京に住んでいたこともあって、府中（東京）競馬場に向かった。ディープインパクトが凱旋門賞で敗れて帰ってきたジャパンカップ。単勝1倍台の人気ということで欲を出して馬券に絡めなかったが、外して清々しい気持ちになったのはあの時だけ。生で見るディープインパクトは、テレビの向こう側で見せる姿と同じく間違いなく飛んでいたからだ。


それから12年くらい経った今、回り回って競馬は身近な存在として楽しめている。言いすぎかもしれないが、ディープインパクトという馬がいなければ、また違う人生を送っていたかもしれない。競走馬、種牡馬として「衝撃」を与え続けてきたディープインパクト。最後の最後も言葉で表せないような「衝撃」だった。


お疲れさま。天国でゆっくり休んでください。そしてありがとう。